父帰らず La petite Lise 1930

シネマテーク・フランセーズでの回顧上映以来、12年ぶりに再見。フランス映画史におけるトーキー最初期の一本で、「詩的レアリスム」の元祖とされる。嫉妬から妻を殺し島送りにされていた男が出所し、パリに残した愛娘に会いに戻るが、娘は貧苦から殺人を犯し、その罪を男が肩代わりする。グレミヨン特有のアイロニックで崇高なまでに美しいメロドラマ。

1930/モノクロ/73分/ パテ・ナタン
(監)ジャン・グレミヨン (脚)シャルル・スパーク (撮)ジャン・バシュレ (音)ロラン・マニュエル (出)ピエール・アルコヴェール、ナディア・シビルスカヤ、ジュリアン・ベルトー、アレクサンドル・ミアレスコ
Jan 24, 2014 (fri)

マドモワゼル・ニトゥシュ (日本未公開) Mam'zelle Nitouche 1931

戦前のフランス映画の大物俳優レイミュ主演の楽しいシネオペレッタ。修道院のオルガニストでありながら隠れて大衆歌劇の作曲をしている男(レイミュ)に、結婚話が持ち上がりパリの実家に戻ることになった寄宿生のおてんば嬢が絡んで始まる一騒動。53年にはマルク・アレグレの実弟イヴのメガホンでリメイクされる(フェルナンデル主演)。

1931/モノクロ/95分/ オンドラ=ラマック=フィルム、ヴァンドール・フィルム
(監・脚)マルク・アレグレ (原)アンリ・メイヤック、アルベール・ミヨー (撮)ロジェ・ユベール (音)エルヴェ (出)レイミュ、ジャニー・マレーズ、アンドレ・アレルム、エディト・メラ、アリダ・ルーフ、ジャン・ルノワール
Jan 19, 2014 (sun)

高い標的 (日本未公開) The Tall Target 1951

1861年の大統領当選直後のリンカーン暗殺計画という史実に基づく事件を題材にした、B級スリラーの最高峰の1本。ニューヨーク発ボルチモア行きの列車内が舞台で、主人公の刑事は就任演説が予定されているボルチモアに大統領が着く前に、計画を未然に防がねばならない。小気味良いテンポと持続するサスペンスに、監督マンの手腕が刻印されている。

1951/モノクロ/78分/ MGM
(監)アンソニー・マン (脚)ジョージ・ワーシング・イエーツ、アート・コーン (撮)ポール・ボーゲル (音)ダグラス・シアラー (出)ディック・パウエル、アドルフ・マンジュー、マーシャル・トンプソン、ポーラ・レイモンド、ルビー・ディー
Jan 18, 2014 (sat)

土曜日正午に襲え (日本未公開) Crime Wave 1954

J=P・メルヴィルのような映画作家に多大な影響を与えた良質のフィルム・ノワール。悪事から足を洗った男のもとに、脱獄したギャング仲間が忍び寄り、男の妻を人質に取って男を銀行強盗に加担させる。ドクターストップのため煙草の代わりに爪楊枝をくわえる現場型のベテラン刑事にふんしたスターリング・ヘイドンがクールで最高。

1954/モノクロ/74分/ ワーナー・ブラザーズ
(監)アンドレ・ド・トス (脚)クレイン・ウィルバー、ジョン・ホーキンス、他 (撮)バート・グレノン (音)デヴィッド・バトルフ (出)スターリング・ヘイドン、ジーン・ネルソン、フィリス・カーク、テッド・デ・コルシア、チャールズ・ブロンソン
Jan 13, 2014 (mon)